Fable 5がある今のうちに、Claude Codeを“自分仕様”にする7ステップ

前回の記事で、AI活用の差は「文脈」と「仕組み」で付く、と書きました。今回はその実践編です。Claude Codeは素のままでも動きますが、本領は“自分仕様”に育てたあとにあります。そして、最上位モデルClaude Fable 5が使えるいまは、その整備自体をAIに任せられる——つまり環境を育てるコストが一番安い時期です。CLAUDE.mdからstatuslineまでの7ステップを、着手する順番のまま、「Fable 5への頼み方」とセットで解説します。

FlatWorks 代表 川満 友樹
FlatWorks 代表 川満 友樹

なぜ「Fable 5がある今」が環境整備のチャンスなのか

理由は3つあります。1つ目は、整備そのものをAIにやらせられること。これから紹介する7ステップは、ほとんどの作業をClaude自身に頼めます。設定ファイルを自分で書く必要は、ほぼありません。2つ目は、Fable 5の得意分野が「長時間の自律作業」と「自己検証」であること。「作って、テストして、直しておいて」まで一息で任せられるモデルが、整備係としてちょうどいいんです。

3つ目は期限の話。公開時にまとめた記事に書いたとおり、2026年6月22日まではPro / Max等の各プラン内で追加費用なしでFable 5を使えます(2026年6月時点)。整備を任せて手応えを試すなら、実コストが掛からない今が一番です。

素のままのAIと自分仕様に育てたAIの対比図。左は毎回ゼロから説明して消耗する様子、右は一度で伝わり快調に働く様子。中央に7ステップの変化矢印
「毎回ゼロから説明」から「一度で伝わる」へ。それがこの記事でやること

7ステップは効果が大きい順に並べています。1つ30分前後、全部で1日あれば一通り回れる規模感です(うちの体感です。環境により前後します)。

CLAUDE.md・メモリ・Skills・hooks・MCP・settings・見える化の7ステップを道のりで示したロードマップ図。1日で一通り回れる
この記事で歩く道のり。上から順に効果が大きい

Step 1 CLAUDE.md——自分のルールを1ファイルに書く

CLAUDE.mdは、AIが毎回最初に読む「自社の取扱説明書」です。事業内容・客層・文章のトーン・やってはいけないこと・よく使うフォルダ。ここに書いたことは、もう二度と説明しなくてよくなります。最小構成はこの程度で十分です。

# CLAUDE.md(最小構成の例)
## 事業: 三重県で個人飲食店を経営(従業員3名)
## 客層: 地元の家族連れ+観光客
## 文章: 丁寧だが堅すぎない。絵文字は使わない
## 禁止: 他店との比較で優劣を断言しない

うちも最初は十数行から始めました。運用しながら増えていき、増えすぎて「毎回読むルール」と「必要な時だけ読む手順書」に分離することになるのですが(その顛末は別記事に書きました)、それは育った後の悩みです。まずは10行でいいので、明日も使う情報を書いてください。

Fable 5への頼み方の例「私の事業のことを質問して聞き取って、Claude Code用のCLAUDE.mdを作って。質問は5つまで。まずは20行以内の最小構成で」

Step 2 メモリ——「同じ説明を二度しない」仕組み

CLAUDE.mdが「最初に渡す取扱説明書」だとすると、メモリは会話が終わっても消えない記録です。打ち合わせで決まったこと、あなたの好み、進行中の案件の状態。これを残す習慣があるかどうかで、2回目以降の会話の質が全く変わります。

うちの原則は「同じ説明を二度しない」。方針が決まったら、その場で「これをメモリに保存して」と言うだけです。次のセッションでは、AIが前回の決定を知っている状態から始まります。注意点はひとつ、古いメモリが現実とズレてくること。月に1回くらい「古くなったメモリを整理して」と頼んで棚卸しすると健全に保てます。

Fable 5への頼み方の例「今日この会話で決まったことを、次回以降も覚えているようにメモリへ保存して。決定事項と理由をセットで」

Step 3 Skills——繰り返し業務をコマンド化する

週に何度も頼む仕事はありませんか。見積もりの下書き、SNS投稿の作成、週報のまとめ。そういう「毎回同じ手順で頼んでいる仕事」は、Skillとして登録するとスラッシュコマンド1つで呼び出せるようになります。手順・品質基準・出力形式が固定されるので、頼むたびに品質がブレないのが効きます。

うちでは繰り返し業務を40本以上スキル化していて、実はこの記事自体も、ブログ執筆スキル(調査→構成提案→本文→画像生成の手順を固定したもの)で書いています。最初の1本は、あなたが週3回以上頼んでいる仕事を選んでください。手順を箇条書きにしたメモがあれば、それがほぼそのままスキルになります。

Fable 5への頼み方の例「毎週やってる〇〇の手順を聞き取ってスキル化して。次から /〇〇 で呼べるように作って、テストまでして」

Step 4 hooks——ルールを「お願い」から「自動強制」へ

CLAUDE.mdに書いたルールは、AIが「読んで守る」ものです。ただ、絶対に外したくないルールを記憶任せにするのは、人間の部下でも不安ですよね。hooksは、特定のタイミングで機械的に必ず実行される仕組みです。例えば「メッセージを送るたびに現在時刻を自動で伝える」「特定の話題が出たら該当ルールを自動で読み込ませる」といった使い方ができます。

うちでは、依頼内容のキーワードに応じて関連ルールを自動注入するhookを運用しています。「言わなくても守られる」状態になるのが、お願いベースとの決定的な違いです。最初から複雑にせず、1本入れて動作確認してから増やすのがコツです。

Fable 5への頼み方の例「メッセージを送るたびに現在の日時を君に自動で伝えるhookを設定して。設定後に動作確認もして」

Step 5 MCP——Gmail・Notion・Canvaを実ツールとして繋ぐ

MCPは、AIと外部ツールを繋ぐ接続規格です。これを設定すると、Claudeが「文章を作るAI」から「作業を完了させるAI」に変わります。うちではGmail・Googleカレンダー・Notion・Canvaなど6種を接続していて、メールの下書き、予定の登録、議事録のNotion記録、デザインの点検までが会話の中で完結します。

つまずきポイントは権限の渡しすぎです。最初は読み取り中心で始めて、書き込みや送信は操作に慣れてから許可する。AIに渡す鍵は、新しく入った従業員に渡す鍵と同じ感覚で段階的に、が安全です。

Fable 5への頼み方の例「GmailをMCPで接続したい。手順を教えて、設定ファイルの編集が必要なら君がやって。まずは読み取りだけの権限で」

Step 6 settings.json——権限・モデル・言語を整える

Claude Codeの土台の設定ファイルがsettings.jsonです。見直すべきは3つ。①権限——よく使う安全な操作は許可リストに入れて確認の手間を減らし、危険な操作は確認必須のままにする。②言語——応答を日本語に固定する。③モデルの使い分け——前回書いたとおり、すべてを最上位モデルにする必要はありません。判断の中枢は上位を固定し、定型作業は標準モデルで十分です。

細かい注意をひとつだけ。高速応答モード(/fast)は2026年6月時点でOpus系モデル(4.8/4.7/4.6)のみの対応で、Fable 5では使えません。モデルを切り替えて使う場合は覚えておくと混乱しません。設定変更で大事なのは「5分で戻せる」こと。変更前のバックアップをAIに取らせてから触れば、失敗しても怖くありません。

Fable 5への頼み方の例「settings.jsonの現状を説明して、危ない権限がないかチェックして。変更するならバックアップを取ってから、戻し方もセットで教えて」

Step 7 見える化——statuslineで「AIの今」を常時表示する

最後は仕上げの小ネタですが、効きます。statuslineは画面下に常時表示されるステータスバーで、いま使っているモデル名や、AIの作業記憶(コンテキスト)の使用率を出しておけます。AIとの長い作業で起きがちな「いつの間にか記憶が一杯になって精度が落ちていた」が、残量が見えるだけで防げるようになります。

これはまさに、この記事を公開する今日、うちの環境にFable 5自身に作らせたものです。「モデル名とコンテキスト使用率を常時表示したい」と伝えたら、仕様の整理・実装・テストまで進めてくれて、人間がやったのは最後に画面を見て「ちゃんと出てるね」と確認しただけ。実際の表示がこれです。

Claude Codeの画面下部に表示されたstatuslineの実スクリーンショット。1行目にプロジェクト名とモデル名、2行目にコンテキスト使用率10%のバーと102k/1000kの実トークン数、キャッシュ量、利用上限の消化率が表示されている
実際の表示。モデル名・コンテキスト使用率・残量が常に見えている(2026年6月11日・自社環境)

ついでに白状すると、このとき「スキルを40本以上に増やしたせいで、一覧表示の予算が足りず説明文が切れていた」という地味な不具合も見つかり、設定値の調整までその場でAIが済ませました。環境の手入れまで含めてAIの仕事になっている、という小さな実例です。

Fable 5への頼み方の例「画面下にモデル名とコンテキスト使用率を常時表示するstatuslineを作って。実装からテストまでやって、最後に表示を確認させて」

付録——コピペで使える7つのプロンプト(汎用版)

最後に、ここまでの7ステップをそのままClaude Codeに貼り付けて流せる形にまとめておきます。業種を問わず使える汎用版です。自分で設定ファイルを書く必要はありません——順番に流して、AIの質問に答えていくだけで環境が整っていきます。

Step 1(最初に渡す取扱説明書)

あなたに私の仕事を手伝ってもらうための前提ファイル(CLAUDE.md)を作りたいです。
私の事業内容・主な顧客・文章のトーン・やってはいけないことを、1問ずつ最大5問で聞き取ってください。
回答が揃ったら、20行以内の最小構成でCLAUDE.mdを作成して保存してください。

Step 2(決定事項の記録)

今日の会話で決まったこと・私の好みとして分かったことを、
次回以降のセッションでも参照できるようにメモリへ保存してください。
決定事項は「何を・なぜ」のセットで、事実と推測を区別して書いてください。

Step 3(繰り返し業務のコマンド化)

私が繰り返し頼んでいる仕事をひとつスキル化したいです。
仕事の内容と手順を質問して聞き取り、スラッシュコマンド1つで呼び出せるスキルとして登録してください。
登録できたらテスト実行して、結果を見せてください。

Step 4(ルールの自動化)

メッセージを送るたびに、現在の日時があなたに自動で伝わるhookを設定してください。
設定ファイルを変更する前にバックアップを取り、変更後に動作確認をして、戻し方も教えてください。

Step 5(外部ツール接続)

Gmailを読み取り専用で接続したいです(MCP)。
必要な手順を先に説明してから、設定を進めてください。
接続できたら、受信トレイの最新3件の件名だけを表示して動作確認してください。

Step 6(土台設定の点検)

settings.jsonの現在の設定内容を、専門用語を使わずに説明してください。
セキュリティ上危ない設定がないかチェックして、変更を提案する場合は
バックアップと戻し方をセットで示してください。

Step 7(見える化)

画面下に、使用中のモデル名とコンテキスト使用率を常時表示するstatuslineを作ってください。
実装からテストまで進めて、最後に表示を確認させてください。

プロンプトは2026年6月時点のClaude Codeの機能を前提にしています。Gmailの部分は、普段使っているツール(Notion・Googleカレンダー等)に読み替えて使ってください。

まとめ——あなたが手を動かす量は、思っているより少ない

7ステップを振り返ると、CLAUDE.mdとメモリで「教え」、Skillsとhooksで「仕組み」、MCPとsettingsで「繋いで整え」、statuslineで「見える化」する流れでした。お気づきのとおり、各ステップの末尾に付けた頼み方の例がこの記事の本体です。7つとも、あなたが設定ファイルを自分で書く必要は、ほぼありません。Fable 5に頼めば作ってくれます。

繰り返しになりますが、6月22日までは各プラン内で追加費用なしでFable 5を試せます(2026年6月時点)。その期間で7ステップの整備を任せてしまうのが、一番割のいい使い方だと思います。そして整備が終わった環境は、モデルが世代交代しても積み上がったまま効き続けます。この先に「業務ごとにAIを分けて組織にする」という世界もあるのですが、それはうちが秘書から始めて部署制にした実録をどうぞ。

「うちの業務だと、どこから整備すべき?」の設計から支援します

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出典(一次ソース・参考)

  1. Anthropic公式発表「Claude Fable 5 and Claude Mythos 5」2026-06-09 — https://www.anthropic.com/news/claude-fable-5-mythos-5
  2. Claude Code公式ドキュメント(CLAUDE.md・メモリ・Skills・hooks・MCP・settings) — https://docs.claude.com/

本記事は2026年6月11日時点の公開情報および自社運用の実体験に基づいています。Fable 5の無料利用期間・料金・各機能の仕様は今後変更される可能性があります。最新情報はAnthropic公式サイト・公式ドキュメントをご確認ください。「1日で一通り回れる」は自社の体感であり、環境や習熟度により所要時間は変わります。

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